見で見で、見で、これ、これ……綺麗♪

スウィングガールズ」で最初にビビビッと琴線にきた眼鏡っ子の関口香織を演じた本仮屋ユイカが、DVD発売に合わせタイミングよく主演することになったNHKの「ファイト」をずっと録画して見ている。
はじめ元気はつらつ娘が眩しかったこの話も、段々展開の雲行きが怪しくなってきて見ているのが辛い。
もちろん当初からの設定として、波乱万丈の運命に弄ばれる少女の物語なのでこれは狙い目どおりなのだろうが、実はかつての大映ドラマや「キャンディキャンディ」のように主役が辛い目に遭うこの手の話が大の苦手のおいらとしては、いつまで見続けられるか我慢との戦いになりつつある。
NHKの朝ドラなどはいままで見たことがなく、過去の作品と比べての出来の良し悪しさえもわからないが、やはり関口香織の臭いをまるで感じさせない木戸優に対して、どうしても思いが入っていかない。
キムタク主演の「エンジン」もつまらないのでとうとう見るのをやめてしまったが、それにに出演している上野樹里にはまだ強引に鈴木友子の姿を重ね合わせることができる。
ビジュアル面の差異もさることながら、本仮屋ユイカのキャラ作りの幅があるがゆえにこんな悪いリバウンド効果を生み出すとはなんとも皮肉なことだ。

ジャズっておっさんのやるもんだべ

ポップス、ロック、フュージョンとひととおりこなしてきたおいらが、そのまま音楽を続けていたら最終的にやりたいと思っていたのはジャズだった。
その理由はジャズこそが現代音楽理論の体系の基礎となっているからだ。
クラシックは別として前述のような音楽をやっている人なら避けては通れないコードやスケールなども全てジャズから派生している。
しかし残念ながらおいらのジャズに対する知識は悲しいほど少なく、つい最近……というか「スウィングガールズ」を見るまでビ・バップのようにインプロビゼーションインタープレイに終始する音楽こそがジャズだと思っていた。
A列車で行こう」や「イン・ザ・ムード」は知っていたのに、そういうスウィングジャズが立派なジャズの一分野であることを考えようともしなかったのである。
東京ディズニーランドで散々デキシーランドジャズやラグタイムを聴いていたのになぁ。
自分の集中力の無さを恥じると同時に、アドリブビシバシのフュージョン小僧だったがゆえに偏った先入観に強く支配されていたことに今更ながら気がついた。
モード奏法もフリージャズも楽理的に素晴らしいのは理解できても、要は聴いていても「何やってるのかわからない」というのがネックになり、憧れの4ビートの世界にはついぞ足を踏み入れなかった。
しかし「スウィングガールズ」のおかげでやっと高い敷居がはずれ、ジャズというものを楽しんで聴けそうだ。

ちんどんやの大きいやつだな

映画「スウィングガールズ」の中で数学の小澤先生が「ジャズっていうのは裏拍にアクセントをつける」という説明をしていた。
確かにそのとおりなのだが、ジャズの定義としてそれより先に理解しマスターしなければいけないものがある、それがハネるビートだ。
劇中では「スウィング」という言葉で表されていたが、いわゆる中抜きの3連符のノリは日本人にはかなり難しく、プロでも演奏に苦労している人が多い。
中抜き3連符と言っても、実際には8分音符にちょっと色つけた程度に軽くしたり、ほとんど付点8分音符+16分音符の組み合わせのごとく重く演奏する場合など、曲調に依って変えたり意識してノリをいじることもある。
例えばこのハネるビートが全部頭打ちで坦々と同じリズムの音符が並んでいるのだったら弾くのも容易だが、実際にはシンコペーションになっていたり食ったり溜めたりするため、やり手のミュージシャンでも演奏符割りがぐちゃぐちゃになってしまったりすることは珍しくない。
おいらの場合やっていた音楽がフュージョンだったため8分音符だけではなく16分音符ベースのハネものなどもやっていた。
だからそのノリには鍛えられているはずだがそれでも危なっかしい演奏になってしまうことがある。
スウィングガールズ」に触発されて楽器をはじめた人達もそのハネるビートがとんでもなく高い壁となって立ちはだかることを今から覚悟しておいた方がよい。

なにすんだ……ず!

スウィングガールズ」が2004年度の日本映画評論家大賞の作品賞を受賞した。
いわゆるMVP(プレイヤー)ならぬMVM(ムービー)なわけだが、でも過去13回の同大賞作品のどれを見ても大した作品が無いような……!!
ま、それはさておき授賞式には矢口監督以外にもガールズの豊島由佳梨関根香菜中村知世根本直枝辰巳奈都子中沢なつき長嶋美紗あべなぎさ金崎睦美も壇上に上がり挨拶したそうで、また華やかな話題を提供してくれた。
某ブログでそのときの模様を写真で見たが、あの年代の女性だとちょっと見ない間にグンと大人っぽくなるものだ。
みんな本当に綺麗になっていた。
当たり前のことなのだが時間の経過とともに出演者が成長し、と共に映画の世界から少しずつ離れていくのが寂しく感じられてしまった。

肺活量無さ過ぎだず

まぁそんなわけでスウィングガールズについてつらつらと書いてきたわけだが、最初に述べたようにこの映画に触発されてウィンドシンセを引っ張りだしたものの、なかなか毎日練習するのは難しい。
週に3日、2時間ほど吹いているがやはり何か目標が無いと張り合いも出てこない。
まだまだ人前で吹けるようなレベルでは無いのでライヴを考えるなどおこがましいが、それでもやればやるだけ上達していくのが自分でもよくわかる。
この辺りはずっとベース弾いていたし、バンドアレンジも任されていたので音楽に関する勘所は随分鍛えられているようだ。
楽譜を初見で演奏できる自分に今更ながらびっくりしている。
では何が欠けているかというと1つ1つの音及び全体演奏の安定性、噛み砕いて言うと音のツブと長さを揃えること、そしてリズムタイトに鳴らす事だ。
昔からバンドメンバーや音楽仲間には「もうこれで十分だと思う量の3倍練習しろ」と言ってきている。
練習というのは本番で完璧に演奏するためにおこなうもので、環境の変化やプレッシャー、そのときの体調や精神状態が不安定になる可能性まで考えると、本番で100%出そうと思ったら練習で他のこと考えながらでも150%の演奏ができるくらいにしておくのが当然の理屈だ。
そして逆に言うとその猛練習に身を焦がすエネルギーの源はやはり成果を発表する場があることだろう。
つまり今のおいらはいくら気合い入れてるつもりでも50%程度の練習が精一杯なのだ。
楽譜を見て最初からとりあえず曲が吹けてしまう→ノーミスになるまで練習する→暗譜で弾けるようになる→練習おしまい。
こんな調子では話にならない。
取り急ぎ目標を見つけなくては。

ちょっとちょ〜だい!

昨年9月の本編上映、各地でのイベント出演、12月のファースト&ラストコンサート、そしてDVDの発売とひととおりの山場を越えた「スウィングガールズ」。
あとは地上波での放送時にまたちょっと盛り上がるのだろうが、ブームも終焉へと向かっているのは間違いないところ。
そうなるとこれからの楽しみは出演した女優さんたちの今後の活躍だが、おいらが一番注目しているのは斉藤良江役の貫地谷しほり
抜群の演技力と飾らないキャラに強い思い入れを抱かざるを得ない。
現在彼女は日本タレント名鑑公式サイトの「タレメnet」でフォト日記を連載している。
楽しく読めるのでここにいらっしゃった皆さんも是非どうぞ。
http://www.taleme.net/

サイドストーリーについて その3

「フライング」
関口香織ファンならちょっと気になる彼女の恋愛感を描いた作品。
ちょっとピントのずれている香織だからああいう男性を好きになるのはまあ許せるとして、それにしても空まで飛ばすことはないでしょう?
本仮屋ユイカも久しぶりに彼女を演じたせいか勘が戻らなかったようで本編の香織の良さがまるで出ていなかった。
ラストでなぜか開き直った香織のキャラ変更もやらなくてもいい余計な演出。
実の母親に「あんたは歌手にはなれない」と言われたという本仮屋の音痴な歌は愛嬌で許せるとしても、おいら的にはサイドストーリー7本の中では最低の作品。


「サプライズ」
脇役ガールズ5人のみで構成されたちょっと意外なサイドストーリー。
プロデューサーの堀川氏が脚本・監督をしている。
千佳(あすか)の誕生日を祝う、4人のガールズが可愛くて微笑ましい。
出演者やカット割りの数、構成の上手さでは「休日」に劣るが、個人的にはこの話も大好き。
循環コードで構成された劇中の曲のコンポーザーは長嶋美紗


というわけでスウィングガールズサイドストーリー全編を、おいらの考える時系列順に並べてみると……
1)「MONKEY GIRL」本編前年の年末
2)「スイングtoスウィング」本編同年の4月
3)「シーラカンス」本編同年の春頃〜初夏
4)「デッド・オア・デリバリー」本編開始直前
5)「サプライズ」本編翌年の初夏
6)「フライング」本編翌年の夏休み前
7)「休日」本編翌年の夏休み中